06/14 ☀︎ 🇰🇷にて +韓国ビザあれやこれや

突然だが、今私は韓国にいる。

"2週間隔離"の2日目、暇を持て余している真っ最中だ。

昨夜、まだ見ぬ自宅に向かうタクシーに揺られながら「こんなにすべてが初めての景色だったことが今まであったろうか」と考えていた。

この二度とないビビッドな感覚を、気力の続く限り、ひとまず文字として残していきたいと思う(本当はYoutuberになりたい)。

で、今日は珍しく真面目な話。

現在、日本から韓国に入国するにあたって、どのくらいの時間を要するのか、書類は何が必要か、空港での手続きとは、自宅隔離の実態とは……この忌まわしきCOVID-19のお陰で、手続きは混迷を極め、情報は錯綜し、日本でいくら調査に時間を費やしたところで私の心に安寧がもたらされることはなかった。

他にもブログや動画などでこれらに関する情報を発信してくださっている方はいらっしゃるが、何しろ母数が少なく、安心に足る量とは言い難い。

折角なので、当たって砕けろ精神で弾丸渡航した筆者の記録もネットの海に放流しようと思い、この記事を書き始めるに至った。

ちなみに、筆者は日本語ペラペラ、英語は言われたことを察せるレベル(話せるとは言ってない)、韓国語は単語がいくつか分かるくらい、語学堂1級のピヨピヨ。

「絶対に生きて家に辿り着く……」というガッツさえあればこのレベルでもちゃんと入国できるので、安心してください。

1.ビザを取得するまで

前提から説明しておくと、私の留学先はソウル市立大学語学堂で、取得したのはD-4ビザである。

現在、結婚ビザと留学ビザは発行されているものの、ワーホリビザは領事館によって対応が異なり、観光ビザはまったく下りていないようだ。(2020/6/14現在)

ビザのサイトでは進捗状況をまったく教えてくれないため、不安で不安で、毎日「韓国 ビザ 留学」「韓国 ビザ 申請」でTwitter検索をかけまくっていたので、かなり信憑性があるデータのはず。

私自身は、東京の領事館(麻布十番)で5/12にビザを申請、その際「6/12以降にサイトで確認してください」と言われる。

それから4週間後の6/8、13時半頃、インタビューがあるので水曜日または木曜日(10or11日)に領事館に来るようにとの留守電が入る。

何を訊かれるんだ……とオドオドしながら向かったところ、結局インタビューが何だったのかは全く分からぬまま、出来上がったビザ一式(コピー用紙4枚)を、必ず全て持って出国するようにとの注意と共に渡される、という時系列であった。

なので、「ビザ発行までに4週間、受け取りにはさらに2日」というのが現状の正確な所要時間だと思われる(これは東京領事館におけるD-4ビザに限った話で、他の領事館・ビザに関しては必ずしも適用されない)。

ちなみに、D-4ビザ、領事館のホームページには「卒業(在学)校の卒業(在学)証明書、残高証明書、留学先の入学許可証、勉強計画書……」など膨大な量の書類を準備するように書いてあるのだが、実際窓口で受け取られたのは

・ビザ申請書：コピー用紙4枚綴り、HPからDLできるし領事館にも置いてある

(・申請書に貼る証明写真1枚)

・中国渡航歴有無の証明書：ペライチ、領事館に置いてある

・病院の診断書：肺炎とそれに付随する症状がないことの証明、地味に5000円くらいした

の3点だけで、それ以外は全部ぽいっと返されてしまった。

どうも領事館の窓口担当者によっても対応が違うらしいので何とも言い難いが、もしかするといずれかの書類が用意できず足止めを食らっている人は、一旦それなしで持っていってみるのもアリなのかもしれない。

あ、あと、ビザ申請書の中の「滞在先」「電話番号」は、留学生なら大学や語学堂の住所とその電話番号でOK。

2.日本からの出国

ビザが取れて、パッキングも済んだらいよいよ出国である。

私はSkyScannerという航空会社比較サイトで、いちばん安かったチェジュ航空(JEJU air)のチケットを予約し、成田空港第3ターミナルから飛び立つことになった。

ここで注意して欲しいのが、海外旅行に頻繁に行かれる方にとっては言うまでもないのだろうが、第3ターミナルだけが600mほど離れた場所に位置する離れ小島であり、しかも中には小さいフードコート以外ほぼ何もない虚無の地であることだ。

搭乗手続きの締め切りが1時間前とのことだったので早めに受付カウンターに着いたのはいいが、その後小腹を満たそうと思っても飲食店が寂しすぎる。

カフェ、うどん店、リンガーハット、フレッシュネスバーガーが細々と営業しており、寿司屋とお好み焼き屋は閉まっていて、結果、日本での最後の晩餐はローソンのサラダと焼きそばと鶏五目おにぎりになってしまった。

皆様におかれましては、ぜひ第1ターミナルまたは第2ターミナルでお食事を済ませてから搭乗手続きに向かわれますよう。

こんなご時世なので、チェジュ航空の受付カウンターに並んでいる人は9割5分が深緑のパスポートを携えて帰国する韓国人たちだったが、担当の男性職員は日本語で対応してくれた。

預け入れ荷物は15kgまでのところ、15.3kgでヒヤッとしたが、そのまま預かってもらえた。16kgに達していなければ良いのだろうか。

ちなみに、チェジュ航空は機内持ち込み手荷物は1つのみ(ハンドバッグはカウントされない)、10kgまで。預け入れ荷物の制限重量は課金によって変わってくる。

私はかなり小さいスーツケースに無理やり詰め込んだ上に機内にも9kgくらい持ち込んでいるので、留学予定の方はそのくらいの重量を見越して航空機のチケットを購入されることをお勧めする。

そして、通常の国内線と同じように保安検査を受けた後、出国審査(日本人は右手のカウンターでおじさんにパスポートとビザを渡すだけでOK)ののち、ついに飛行機の搭乗口に辿り着く。

この時点で、もう韓国に来たのかと思うくらい周囲には韓国語ばかりが飛び交っていて、謎の喪失感に襲われる。

私の乗った便は小さめの機体で、座席は左右に3列ずつ、間には1.5人分くらいの狭い廊下しかなく、そのため搭乗口には長い列ができていた。

すべての席の頭を置く部分にはペンス柄の不織布がかけてあり、その時にはあまりの安堵感に「この先ペンスを一生愛し続けます……」と誓いかけた。

飛行機が動き出してから離陸するまでの時間は、たとえば新幹線の車窓から手を振るときのように、いつも途方もなく大きなエモーショナルの洪水に襲われる。

昨日もまた、「日本に生んでくれてありがとう……」と感謝をしてみたり「次に会うまでの間に父が衰弱して死んでしまったらどうしよう……」などといらぬ心配をしてみたり、はたまた「翼なき者に空を飛ばせてくれる文明の尊さよ……」と思いを馳せてみたりして危うく泣くところだったが、離陸した瞬間からあまりに心が躍るのでその気持ちはすぐどこかへ隠れてしまった。

飛行機の機内放送は韓国語、英語、日本語の順でかかるので、韓国語が分からなくてもここまでは大丈夫。

空港に到着してから死ぬほど使うカードや書類を5枚ほど書くのだが、それも日本語版があるものはCAさんに言えば渡してもらえる。

それ以外の書類も、英語と中国語が併記してあるので英単語と漢字で推測しながら取り組めば難しいことはない。

ちなみにこの書類に既に滞在先を書く欄があるので、もし自宅がない場合はこれを提出する際に施設行きに振り分けられるのではないかと思う。

3.仁川空港での入国手続き【壮絶】

到着予定時刻が19時半なのに19時には仁川空港に着陸したので、早いな〜まだ明るいな〜と嬉しい気持ちで飛行機から降りた。

しかし、大変なのはここからだったのである。

飛行機を降りて歩いていくと、道の両側にしつこいくらいに「自宅待機者の安全保護」アプリの案内が表示され続ける。

これが入っていないことにはこの先に進めないのでしゃにむにダウンロードしてほしい。空港内にはFree-WiFiがブッ飛んでいるので、スマホの契約をせずポータブルWi-Fiで乗り切ろうとしている皆様にも安心してお使いいただける。

RPGでいうところの最初のポケモンである。多くの人が半ば強迫観念のもと最終進化まで可愛がって育て上げるところも似ているかもしれない(似ていない)。

ひとつめの関門では韓国人も外国人も共に列に並び、自家隔離についての説明を受ける。

わたしの時は日本語が少し話せる職員の方がいらしたが、そうでなくともここは基本的に隔離期間についての説明(14日目の昼に終了すること、違反したら罰則があること等)を確認される程度なので、それらを事前に調べていれば問題はない。

最後に詳細を書いた紙を渡してくれるので、韓国語が分からない方は必ず英語版をもらっておこう。

そして、ここも含めてすべての関門では、どれが要るのかよく分からないから、とりあえずパスポートとビザとその他手に持っている書類を全部職員に渡せ。説明されても分からないので。

ここで韓国人帰国者に別れを告げ、外国人たちの茨の道が始まる。

見た感じかなり中国人の比率が高かったようだ。列という概念を物ともせず言葉のキャッチボールというかドッチボールを続けるアジュンマ達とこれから何だかんだ2時間半も共に過ごすことになる。「腐れ縁」もこんなに短い関係に使われてさぞ戸惑っていることだろう。

ふたつめの関門では、まず列に並んでいる間に前述した「自宅待機者の安全保護」アプリのインストールおよび情報入力の進捗状況を確認される。

このアプリは日本語にも対応しているのだが、1つだけわたしもミスった注意点がある。

「名前」と日本語で書いてあっても、絶対に英語で入力すること。

基本的に、すべての書類に英語または韓国語での記載を求められるので、アプリもそれと同じだと思っておいて欲しい。

これをミスると訂正する術がなく、まさかのアンインストールからの再インストールという無駄足を踏まされるので、皆様はどうかこのようなことの無きよう。

そして7人ほど並んで座った担当者の前に案内されると、そこでは韓国国内の知人の電話番号を確認される。

ここでもまた注意だ。

①絶対に携帯電話の番号でなければいけない(02〜などの固定電話はNG)

②070で始まるインターネット電話もNG

(③国際電話で通じるからと言って日本の電話番号ではダメ)

これもどちらもやらかした挙句、最終的に大家さんに泣きついて電話番号をお借りしなんとか乗り切ることができた(ありがとうございます)。

友達がいればそれでいいが、もしいない場合は大家さんにでも語学堂のクラスメイトにでも先生にでも、語学交換アプリの出会い目的の奴にでもなんでも泣きついてその場を乗り切ろう。

関係性を尋ねられるので、言いづらい時はとりあえず「チングイムニダ〜」と作り笑いで乗り切ろう。

みっつめの関門はすぐ左手にある。

ここでは、たくさんの受話器とともにイカつめの職員が腰掛けており、書類に記入されている本人の電話番号が合っているかどうか、その場で電話をかけて確認される。

日本の電話番号でもかかればOKと言っている方もいらして、それはさすがにチャレンジしていないので何ともいえないが、Qoo10で3枚購入した5日分の電話番号つきSIMがちゃんと機能して一安心。

ちなみに、途中で電話番号が変わる場合はアプリの登録を変更できるそうなのだが、区の保健所の担当職員との連絡はまた別の管轄じゃないかと危惧してるので、また今度電話がかかってきたら確認してみようと思う。

なお、事前の情報では国内の知人の電話番号の方にも確認を入れると聞いていたのだが、私の場合はその行程はなかったみたいだ。

そしてよっつめの関門はさらに左。

メガネをかけたインテリジェンスなおばさま達が見張っている中、4枚綴りくらいの紙にまたひたすら氏名、生年月日、住所、電話番号……と書き連ねていく。

3枚目4枚目は隔離に関するルールの説明とその同意書のようなものなので、下部にサインを忘れぬよう。

書き終わったら近くにいらっしゃる職員の方に(終わりました……)という顔でお渡しすれば不備がないかチェックしてもらえる。

次がいよいよ最後の関門だ。

最後は、奥に進み、高台に座っている職員の方と共にビザや書類の最終確認をしつつ、両手人差し指の指紋を採取、および顔写真を撮影される。

この指紋データが何に使われるのかと思うと震え上がる。悪いことはできませんね。

確認のみなので(おそらく)特に咎められることはなく、無事に終わるとついに放流され、愛しの預け入れ荷物と涙の再会！

とここまでが約2時間である。

あと30分も何をしていたの？と思われただろう。タクシーを待っていたのだ。

4.まだ見ぬ自宅へむけて

あ、ちなみにひとつだけ補足すると、わたしの乗った便は19時半に仁川空港着のスケジューリングだったが、とりあえず手続きの嵐から解き放たれ無事に入国できたらしい、となったのは21時。

この頃には、空港の出入り口付近にある両替カウンターらしきものはすべてクローズしてしまっていた。

他のターミナルに移動することもできなかろうし、もし急ぎ手持ちの日本円を両替しなければならない(すぐ家賃を払うとか)用事があれば、手荷物を受け取ったあとの出口手前にあるウリ銀行で両替してしまおう。

空港内のレートはよくないようだが、それでも日本で両替するよりは随分良いはずだ。

さて、そこを出ると、隔離者たちは行き先によって分類される。

「서울시」と告げると、ソウルはソウルでひとまとまりになっているようで、腕にオレンジの丸いビニルシールが貼られた。

ユダヤ教徒のダビデの星みたいだなと思いながら次のカウンターに進むと、そこではソウルのどこに行くのかと尋ねられる。

そして、「友達が迎えにくるのか」。いいえ、と答えると、「今日はバスは終わっているからタクシーで85000원かかるけど大丈夫？」と……

がびょーん！！！！！！！！！！

私が日本にいた頃にもらった資料では最終バスは21時台だったのだが、どうやらダイヤの改定があり、19:50に変更になっていたようだ。

日本から渡航する飛行機は総じて遅い時間だったと記憶しているので、終バスには間に合わない方が多いのではないだろうか。

空港側が手配してくれるタクシーなので、地域別の固定料金でわかりやすく、クレジットカードも使えて安心安全ではあるのだが、何にせよ高くつくので、心の準備はしておいた方がいい。

値段は区によって異なるが、6만5천원〜13만원と書いてあったように記憶している。

そこから数人連なってタクシーのカウンターに案内され、名前と行き先を訊かれて後は配車を待つ、こと30分……

いかにも優しそうな運転手のアジョッシが現れ、私のスーツケースを朗らかに持ち上げてタクシーへと案内してくれたのである。

後で分かったことだが、日本語・英語対応可能というタクシーがあり、受付の方が選んで手配してくださったようであった。

韓国語に不安のある方は配車カウンターで積極的に「일본인！ 日本人！ Japanese!」とアピールしておくと後々楽になるかもしれない。

約1時間10分のドライブを経てタクシーは自宅の住所に到着したが、困ったことに家が見つからない。

そりゃ自宅とはいえ来たことがないんだから、分からなくて当たり前だ。

困り果てる私を見て、アジョッシが「これで家の人に電話をかけて」と自らのスマートフォンを差し出してくれ、韓国語のできない私の代わりに大家さんと話して、ちょうど裏手にあった家まで私を連れて行って大家さんに引き合わせてくれた。

こうして無事に私は自分の部屋を手に入れ、蛍光灯の下はてなブログを更新することができているのである。

ふぇ〜〜〜！！！

7,000文字に到達しようとしているので、今日はここまで！

家がまたなかなかに面白いのでそれも書きたかったが、明日の宿題ということで……

もし他にも何か疑問点や、わたしの書き切れていなかった部分に関する質問点などありましたらコメントください！

お待ちしております！！！

優しい優しいタクシーのアジョッシ、到着が23時になってしまったのに笑顔で出迎え「家賃は後日でいいからゆっくり休んで」と言ってくれた大家さん、そして空港内で忙しいにも関わらず英語や日本語で頑張って説明してくれたり、日本語のできる職員を呼んできてくれたり、ニコニコしながら話してくださった職員の皆さま、そして色白塩顔黒髪メガネの若者たち！(？！)

皆様のお陰でこうして無事に韓国生活を始めることができました。

忘れないようにブログにちゃんと残しておきます、本当にありがとうございました。