6/26 ☁︎ 🇰🇷にて +미소당 빵 리뷰

やっほーみんな、息してる?

みりちむです。

今日も昼寝では頗る変な夢を見た、私は大学生で、学校が終わってから友人2人とともにハライチ岩井さんの家へ遊びにいくのが日課で、岩井さんは毎日深夜に起き出してなにかヘンなことをしていた。なぜか長年の友人がテレビ電話で私の韓国語の発音を添削していた。

寝過ぎってのもあるだろうがそれ以上に、たぶん暇つぶしにロシア文学を読みすぎて、脳が突飛な展開なんて慣れっこになってしまったんだろう。

ロシア文学というより、ある時代の純文学全体における現象、とでも言うべきなのかもしれない(文学史に篤くないので分かりかねるが)。

また韓国語の話題が取り沙汰されたことだけが唯一感慨深い。

 

私の読みでは今日の夕方にまたPCR検査が斡旋され、明日の昼に隔離が解除されるはずなのだが、担当のアジュンマからはいつものようににこやかな声でありつつも、検査に対する言及は一言もなく。

隔離2日目に「あなたの隔離は27日の12時までです」と説明されたのだが、韓国では24時間制で時間を表示する習慣がないのでもしかすると、検査はなしで、土曜日の(夜の)12時に解除されますよ、ということなのだろうか。

いずれにしろ、明日も電話をかけてくる感じの話し方ではあったので、また明日の電話にて言及を待ちたい。

慣れ切ったとはいえ、やはりこの軟禁生活は名状しがたく退屈である。

 

今日、出前を受け取りにいくためにドアを開けたら、隣の部屋の住人は家の前にゴミを放り出していて(そのせいでゴミのないうちにもコバエが入ってくるのか!ちくしょう)、よく耳をそばだてたら普段からやたらと壁にぶつかっていたり、ドアの開け閉めがものすごく乱雑だったり、おまけに今日も全然静かなのに怒って壁叩くし、ふつうにヤバい人なだけじゃないかという想像がかなり現実味を帯びてきた。

内見に行く時は、シャワーの水圧に加えて隣人の人柄もチェックすべきというよい知見を得ることができた。

もはや、壁バンには狼狽えず、「出ていくのはお前の方だ!」と思いながら生活していきたいと思う。

 

 

さて、先日私が大量のパンを出前した話をブログにしたが、味のレビューはまた後ほど、と言ってようやく今日全てのパンを喰らい尽くしたので(イェーイ!!!)、早速その大仕事に取り掛かって行きたい。

目次は以下の通りだ。

 

 

1.生クリームパンドール (4,500원)
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砂糖だらけ

上のこなこなしたものをつまんでペロリと舐めてみたら、甘さに驚く私を横目に微細な粉砂糖が口の中でさらさらと溶けだし、(もしやとんでもないモンスターを頼んでしまったのでは?!)という恐怖が頭をよぎる。

死に物狂いで上の粉砂糖を払いのけると、姿を現したのは大きなカップケーキのような形をしたブリオッシュで、二箇所に大きな切れ目が入っており、そこに大量の生クリームが挟み込まれていた。

全部食べたらきっと命はない……と覚悟しつつ大口を開けてかぶりついてみたところ、ブリオッシュは主張があまり強くないふわふわしたもの、生クリームも甘さ控えめで牛乳クリームという感じに近く、私にはミスドエンゼルフレンチが強く想起された。

あの、見た目にはいかにもごてごてして甘そうな、しかし食べてみるとクリームは軽く、生地も空気を含みクシュクシュしたもので思いの外ぺろりといけてしまう、そんな親しみ深さを感じたのである。

ブリオッシュの皮の部分がサクサクとしているのがまたクリームのまろやかさと相まって、これはこの店で最高価格の商品ながら、おすすめメニューになるのも納得の美味しさであった。

 

2.高級バタープレッツェル (3,800원)

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ただならぬ雰囲気

むしろモンスターはこっちの方だった。

ミルクフランスのような棒状に焼き上げられたパンに、堂々たる風格の薄切りバターがデデンと2枚も挟まっていらっしゃる。

高級なバターを使って焼いたプレッツェルという意味かもしれない、という淡い期待は盛大に打ち砕かれた。

他にジャムやなんかが塗ってあるのではなく、本当に何度見ても口をこじ開けてもバターだけが挟まっているのだ……これはあんバター超えの度し難い暴挙であり、無意識のうちに(メロスを読んだことがない人でも、このパンを見たら「邪智暴虐」という単語を思い浮かべるだろう)とか考えていた。

しかも極め付けに、これが無塩バターなのだ!

日本人は塩分取りすぎ民族なので私も味覚が毒されてしまっているのか、無塩バターはどうしても脂肪の塊としか認識できず、脳が食べ物ではないと判断してしまう。

仄かにチーズのような風味も兼ね備えた、れっきとしたバターであったことには間違い無いのだが……

結局、間のバターは箸ですべてこそげ落として再利用することとし、なぜか切れ目が入っていてバターの香り漂うスティックプレッツェルとして食したところ、それとしては十二分に美味しいものだった。

カロリーの神に祟られるかもしれないのでこれまで以上に信心深く、食べてすぐ寝るなどの善行を積んで行こうと思う。

 

3.高級生食パン 1斤 (4,000원)
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薄い!

日本にいる時から食パンが好きで、当時巷で話題になっていた高級な食パン専門店をめぐり歩き、ここのは冷凍してからも美味しい、ここは生で食べるのがいちばんだとあれこれ言いくさっていた。

そんな私がいちばん楽しみにしていたのがこの「高級生食パン」である。

日本の専門店でも大体2斤900〜1,000円程度で売られているので、この価格設定は韓国でもかなり強気な方であり、それだけ素材や味に自信のあることが窺える。

 

びっくりしたのは、注文したらなにも言わずに12枚切りで届いたことである。

今まで食べてきた食パンたちは基本生食を前提としており、味が楽しめるように4枚〜6枚切りが主流であった。

それに対してこちらは、個人的には慣れ親しんだ1斤サイズより僅かに大きめの印象を受けるがにしても12枚切りは明らかに薄く、当たり前だがサンドイッチのパンの厚みである。

ところが、これはこれで悪くなかった。

まず私的な感想を先に述べると、薄いパンを何枚も時間をかけて食べることで、同じ量でもたくさん食べたような満足感が得られる。

加えて、この生地の甘みを全体が空気に触れていることで満遍なく感じられ、よりしっかりとパンそのものを味わうことができたのである。

 

なにかの素材の味が秀でるということはないものの、いかにも添加物の入っていない自然の甘み豊かな食パンで、専門店の自信に溢れた逸品であった。

ちなみに(推奨される食べ方では無いが)冷蔵庫が壊れていたことにより注文した日から数えて6日間少しずつ食べながら常温で保管していたのだが、袋の口を針金で縛り直したら乾燥することもなく、ずっと美味しいまま楽しむことができた。

 

4.栗食パン 3,900원
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宝探し気分

ここからはこの店の主力商品、味つきミニ食パンシリーズである。

長さは1斤ほどあるものの、体積としては通常の約1/3サイズのミニ食パンで、生地にそれぞれが名前に冠したフレーバーが練り込まれる構造になっている。

日本では栗といえば秋以外にそんなに食べる機会はないが、韓国ではこの栗を混ぜた「栗食パン」が各所で人気を博しているようである。

上部にはホワイトチョコレートのような風味のクランブルが振りかけられていて、内部の栗の多さを暗示するかのごとく2つほどがちらと顔を出している。

 

実はこれ、写真では伝わらなかろうが、生地自体にも栗のシロップが混ぜ込まれているようでほんのりと栗の味がする。

しかし、茶色でもなければ粒々も入っていない栗味のものを食べた経験がなさすぎて、最初うすら甘くて爽やかな土味かと思った。栗はうすら甘くて爽やかな土の味がする。

あいにく写真を撮ったタイミングが悪かったが、中心部に進むほどに、黄色い栗の甘露煮がごろごろと出現して、最後の方はパン風味の栗を食べていると言ったほうが近い様相だった。

慣れ親しんだ甘露煮より少し煮が甘い感じで、控えめな甘みにシャッキリした食感、食パンの中にあっては少し異質な存在である感が否めない。

日本でもこれ出したら売れるんじゃないか。その際は渋皮煮でぜひ挑戦していただきたいと思う。

 

5.チョコ食パン 3,300원
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チョコの海

これはもう出来レースだ。美味しいに決まっている。

上部はクッキーのような質感の異なる生地でコーティングされ、チョコチップが散らしてある。

地のパンも甘いのかと思っていたがそこが巧みで、無糖ココアの混ぜ込まれた少しビターな大人の味であり、これだけで食べても十分に美味しいものである。

食べ進めると、ハーシーのような濃厚で甘いチョコソースがふんだんに巻き込まれており、それだけだと甘さが過剰になりそうなものを良い塩梅で生地のほろ苦さが丸め込む。

贅沢に両端から食べ進めて真ん中にチョコソース溜まりを作り出し、(チョコ食パンの大トロ……)と思いながら最後に頬張った。

口の周りはもれなくわんぱく少年になったが、極めて甘美な時間であった。

 

6.竹炭クリームチーズ食パン 3,300원
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かっこいい

ちょうど分かり易かったのでレシートに書かれていた順番に従って記述しているが、時系列的には最後に食べたのがこの竹炭クリームチーズ食パンである。

実は、なぜかこれだけ通常のクリームチーズ食パンと炭入りのものと2通りの選択肢が用意されていて(しかも同じ値段だった)、身体に良さそうだしなんかかっこいいので迷わずこちらを選んだのである。

薄らと外側にクリームチーズの気配が染み出しているところがそこはかとなく白カビに見えなくもないので、もし気になる方は通常の方を選ばれることをお勧めする。

 

個人的には、地のパンも、トッピングとのマリアージュも込みで最も美味しいパンであった。

勿論炭の味はしないのだが(多分)、生地自体にほんのりとした塩味があり、これがクリームチーズととにかくよく合うのである。

皆もよく知るKiriクリームチーズと比較すると、勿論固体ではなくクリーム状になっているため軽さが出ているもののお腹にはしっかりと溜まる適度な重量感がある。

味は、Kiriのパラメータを逆転させたような感じで、酸味その他が少なく甘みに特化していて、ブルーベリーチーズケーキの白いチーズのイメージといえば伝わるだろうか。

クリーム単体ではスイーツっぽさがあるものの生地の塩味がうまい具合にそれを引き締め、あくまで食パンとしての輪郭を保たせている。

自信を持って推せる、完成された味だった。

 

7.黄金カステラ 3,900원

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カフカ

なぜパン屋にカステラが?と思いながら頼んでみた。

届いたものを見て、最初は台湾カステラ(「高円寺新カステラ」が美味しいのでお近くの方は是非)に近いものかと思ったが、食べてみるとイメージとはかなり違うものだった。

台湾カステラとは、作り方を詳しく存じ上げず恐縮だが、中国のマーラーカオを思わせる、焼きというより蒸しカステラの雰囲気があって、焼き色が薄く、生地は空気を含んでふわっ、しゅわっという他にない食感。優しさと共になぜかチーズケーキのような風味が抜けていく、本当に美味しい天国からきた食べ物である。

映画『パラサイト』にはお父さんが台湾カステラ屋を出店してコケたというエピソードがあり、韓国人にとってはこれがあるあるらしいのだが、日本にはあまり店舗自体がないし、高円寺新カステラはちゃんと繁盛しているから安心して欲しい。

 

初めて食べる韓国のカステラは、台湾カステラと日本のカステラのちょうど中庸に位置していた。

思ったよりも中身が詰まっている生地は、ソファにして埋もれたら気持ちがいいだろうなという柔らかさもありつつフカフカとした食感。

味としては日本のカステラ寄りで、淡く懐かしい玉子菓子の風味が口いっぱいに広がる。

お店のレビューを検索していたらバナナ味のカステラもあるみたいで(韓国人はやたらとバナナが好きだ)、そのせいか3口分くらいバナナの味がしたんだけど、まあなにぶん同じ味を食べ続けるのもつまらないし許す。

 

(8.100%国産にんにく食パン (販売価格3,800원))
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このあと口と部屋がたいへんなことに

なんか注文した数よりパンが多いなと思っていたら、あまりにたくさん頼んだもんだからお店の方がご厚意でおまけにつけてくれたらしかったのがこのニンニクパン。

これもかなりの人気メニューのようで、相当迷ってカートから外したものだったのでとても嬉しかった。本当にありがとうございます。

なんでこれだけ切れ込みが入ってるんだ……?と思っていたら、なんとご丁寧にも切れ目の両側にもニンニクペーストがこれでもかと塗りたくられていた。

 

表面を覆っているのはガーリックバターだと思うだろう。

ところがどっこい、これは本当にニンニクペースト、つまり「ニンニクがペースト状になったもの」であり、しかもよりによってそれがーー甘いのである。

韓国にはトッポッキみたいな甘辛メニューが多々あり、それらには概してニンニクが使われているので、ニンニク+(塩分を伴わない)甘みという組み合わせには違和感がないのかもしれないが、日本舌の私にとっては一口目から衝撃的で、そのまま食べ終わるまでずっと毎度毎度飽きずにびっくりし続けた。

時々シャリッというほどに誠実なニンニクペーストなので、翌日まで漏れなく口の中はニンニク畑だった。

外に出る身分でなくて良かったと安堵しつつも、東大門の市場付近は路上のあちらこちらにニンニクが束で売られ、空中にさえニンニクの臭気が漂っていたので、もしかしたら誰も気にしないのかもしれない。

 

 

以上計 26,700원(クレカの請求額 2,467円)。

この金額で5.5日分も食べつなぐことができた!ありがたいことだ……

冷蔵庫も直ったことだし、これからはちゃんと栄養のあるものを意識して摂っていきたいと思う。

6/25 ☔︎ 🇰🇷にて

韓国は昨日から장마という、日本でいうところの梅雨みたいなものに突入した。

月曜日の36℃が嘘みたいに1日中20〜26℃辺りを推移していて、雨のおかげでPM2.5も少ないし(韓国はめちゃくちゃPM2.5の被害を被っているので、渡韓の際は予報アプリとマスクの携帯が必須である)、朝起きてから眠る直前までずっと窓を開け放しているので、この家は完全に外気温と同期しており、実質外である(?)。

ちなみに梅雨が終わると一気に36℃になるし、冬は今度は-10〜15℃だそうで、これは家に風なんか通した日には暴動が起き国家が揺らぐ。

サッシが3枚にエアコンに床暖房のフル装備はあるべくしてそこにある。

 

昨日はなんか隣の部屋の人が怒り狂っていて、昼間のオンライン授業中と夜に父と電話していたときにはうちの部屋の壁が叩かれたような音がした。

その音は別段耳を済ませずとも入ってくるような大きさで、どうやら隣の部屋の壁や机なども叩いたりしているらしかった。時々唸ったり罵ったりしているような感じもあった。

怖くて窓の外を見ていたら、大家さんがやたらかわいいビニル傘をさして建物を見上げていたので、実際何かが起こっていたのかもしれなかった。

今朝までは通りで自動車のドアをバンと閉める音にさえびくついていたが、今日はどうやら怒っていないみたいで隣からのアクションは特になかったので、昼寝して起きたら元気になった。

きっと生理前か(男性だったけど)、彼女に振られたか卒論の原稿全部ぶっ飛ばしたかのどれかだったんだろうと思って許した。

 

やたら壮大な夢を見ていた。

ミュージアムを知らない男の子と回っていた。そこでは、入り口をくぐるとなぜか人が赤ちゃんになり、奥に進むにつれてすごいスピードで成長して元の姿に戻るという謎のシステムがあって、私は私のまま、その男の子を胸に抱いて歩いていた。

成長し切ってみると、中学生になるかならないかというくらいだった。出口にはその子の家族が待っていて、なぜかわたしも入れてもらって記念写真を撮った。

その後も、家族は先にどこかへ行ってしまって、私たちが話しながらゆっくりその後を追いかけていたら、突然その子がぱたりと道端に倒れてしまった。

慌てて救急車を呼ぼうとして、私の電話番号は受信専用で使えなかったので道ゆく女性に声をかけた。その方は韓国人で言葉はあまり通じなかったが、言いたいことは伝わったようで、スマホを出して救急に電話をかけてくれた。するとその子はなんとか立ち上がって、近くのフレッシュネスバーガー(?)に座っていた家族のもとへと歩いていった。

お父さんとお母さんらしき人が「この子は3ヶ月前に喘息が治ったばかりなの、まだ少し症状はあるけどちゃんと治るから大丈夫」というようなことを言ったので、そうかと安心し、電話中の女性にもう平気というリアクションをして丁重に礼を述べたところで夢から醒めた。

 

体力を消耗する夢を見たときによくあることだが、起きると体が重く、疲れ切っており、立ち上がるとふらふらした。

あまり食べられないかと危惧もしたが、今日の食事に置いてあった食パンのノルマは無事に消化し、残るはノーマルの食パン4枚のみだ。

明日は久しぶりにサラダでも頼んで健康的な食事にしようと思う。

1回頼んだだけで4.5日ぶんにもなった(1食約500円)のだから、パンは本当に偉大な選択だった。


追記

なんで夢の話をわざわざ書いたかというと、変で疲れる夢だったことに加えて、初めて夢の中に韓国人が出てきたのは一つの記念と言えるだろうと思った為である。

そのうち、韓国語で夢を見るようになるだろうか。

6/23 ☁︎ 🇰🇷にて

突然大家さんが業者のおじさんを連れてきて、冷蔵庫を新しいのと取り替えてくれた。

新しいピカピカの冷蔵庫が来るかと思って楽しみにしていたら、前のと同じ型だしたぶん中古なのだけれど、とても綺麗に掃除されていて、コンセントに繋ぐと、昨日までが嘘だったみたいにブォーンという音を立てて庫内はすぐ冷気で満たされた。

前のは冷凍庫の中に謎のピンクの液体のシミがあったし、冷蔵庫の匂いを濃縮して還元しなかった感じの臭さが取れなかった。

前の住人の女の子は私でも思うくらい部屋を雑に使っていて、それなのに入り口にかわいい壁飾りとかかけてあるので(捨ててくれ)、そのバランス感に私はいちいちため息を漏らした。確かにピンクのシミは外からは見えないのだ。しかもピンクだし。

ちゃんと動作を確認し、大家さんが無事に階段を上っていく音に耳をそばだててから、どうせ入れるものもない私はコンセントをみたび引き抜いて、冷蔵庫のない日々に戻っていったのである。

 

Instagram(@hinemoth_notalie)でも、その日に食べたものを冴えない写真とともにポストしていたら、たまに知人から「私も韓国に留学したい」というお声を頂けるようになってきた。ありがたいことです。

そもそも私は、韓国に行ったこともなければ友達もいないのに単身で飛び込んだ狂人(くるいんちゅ)なので、「週末は何をしましたか?」という会話ではみんなが楽しそうに友達と遊んでいる様子を指をくわえて聞くばかり。

と言いつつ、本当は一人でいるのがいちばん好きなので(家から出られないこと以外は)サイコーだし、日本人の友達と遊んだら日本語喋っちゃいそうだけど、韓国語勉強仲間が増えることはもちろんこの上なく嬉しい。

留学でも観光でもみんなに久しぶりに会えたらとっても嬉しいです。

 

 

毎日勉強して、このブログを書いて、昼寝して、ご飯を食べて、ベッドに転がって申し訳程度に脚パカとかをしながらデイリーポータルZ青空文庫を読んで、という変わりばえのしない生活を送っている。

隔離開始から1週間前後が休日だったのもあり退屈のピークだったのだけれど、3日前から出前を一時的にやめてパンを常備するスタイルに切り替えてからは、生活がルーティン化されたことにより辛さが少しばかり減じられたように感じている。

 

 改めてあらすじを説明すると、当時冷蔵庫が壊れていた私は、出前を2人前頼んで1人前を神の御前にゆだねる(意訳:明日までもってくれ〜と願いながら放置する)ことを繰り返していたのだが、1週間経ってようやく自らのアホさ加減に気づき、私の信心の篤さに関わらず常温で保存されてくれるパンで残りの日々を乗り切ろうと思ったのであ〜る 解説おわり

そして、日曜日に私は宣言通りパンを頼むことにした。

 

元々はパリバゲットかTOUS les JOURSで頼もうと思っていた。まあ日本でいうところのサンジェルマンとかアンデルセンみたいな、イートインがあってコーヒーと一緒に軽い食事を取れる、どの駅にでもある気軽なベーカリーチェーンである。

想像に難くないだろうが1人前の、ちょうどOLが昼に食べていそうなサラダが一緒に売られていたので、これを一緒に頼むことで、私の炭水化物に傾倒した食生活も少しはバランスってもんが取れるかなと期待したのである。

しかし、そこには大きな罠が隠されていた。現地決済がクレジット・現金ともにまったく不可能なのである。

(実は、ペダルアプリに登録するチェーン店は殆ど現場決済に対応していない。

お腹が空いている時は気づけないかもしれないが、お店のホーム画面のすぐ下に対応している決済方法一覧が書かれているので、事前に確認しておくとぬか喜びが防げるはずだ。)

 

私の中の天使が「そろそろ野菜を食べないとまずいよ」と私にサラダを検索させ、表示されたサラダ専門店のいくつかはとても魅力的だったものの、サラダなんて万が一残したら絶対翌日にはしなしなに干からびてしまうだろうし、たとえ食べ切れたとしても、これまでの経験からすると一食に14,000원も費やすのはさすがに気が引ける。

その他いろいろの屁理屈をこねながら天使をねじ伏せた私は「빵(パン)」と検索窓に打ち込み、以前から気になっていた近所の「미소당」でパンを買い漁ることにした。

 

 

미소당は、日本でいうところの食パン専門店だ。

ただ、日本のそれが素材を吟味してオーソドックスな食パンの極みを追求しているのに対し、韓国の食パン専門店は、趣向を凝らした様々なフレーバーを揃えることに力を入れている。

特に栗の入った食パンが韓国では人気のようで、多くのお店にラインナップされている。

ひとつのパンは概ね3,300〜4,000원程度と安くはないが、フレーバーの食パンを1つ丸ごと食べればほとんどお腹はいっぱいなので(栄養バランス的にはおすすめできない)、コストパフォーマンスはいいだろう。

最低配達金額も9,900원と注文しやすく、また25,000원以上の注文で配達が無料になる嬉しいサービスも行っている。

 

全体の商品数は多くはないがどれも魅力的で、うんうん言いながら選抜したラインナップは以下である。

 

1.【おすすめ】生クリームパンドール 4,500원

2.【おすすめ】高級バタープレッツェル 3,800원

3.高級生食パン 1斤 4,000원

4.栗食パン 3,900원

5.チョコ食パン 3,300원

6.竹炭クリームチーズ食パン 3,300원

7.黄金カステラ 3,900원

計 26,700원 配達料なし

 

なんと、こんなにパンを頼む人が他にあまりいないのか、袋を開けてなんか多いなと思ったら苦渋の決断でカートから外した

8.100%国産にんにく食パン 3,800원

がまるまる1個おまけで入っていたのだ!

韓国のペダルアプリではたま〜に店舗からのちょっとしたおまけやメッセージが入っているようだが、まさかパン1個がどかっと入っているとは……嬉しさに、間違って入れてしまったのではないかという不安な気持ちが入り混じりさえしたが、あいにく気づいたのがその日の夜遅くだったので、もう連絡しても遅く、ありがたく頂戴することにした。

미소당、おすすめです(ダイレクト・マーケティング)

6/22 ☀︎ 🇰🇷にて

今日は暑かった。

iPhone天気予報の気温は36℃を指し、授業中もしきりに冷麺とかピンス(かき氷)の話をみんなでしていた。

3枚もあるサッシを昨日の夜半からぴっちりと閉め鍵までかけておいたが、忍び込む日差しには打ち克てず、結局私も2時間ばかりエアコンのお世話になった。

しかも、私がこちらに来てからは晴れ続きだったので調子に乗っていろいろ書いたが、なんと韓国の梅雨はこれかららしい。

まあ、雨が降っている間は少しは気温も下がることを思えば、夏も更けてから来た方がいいものなのかもしれない。

 

私のクラスメイトは9人いるが、全員国籍はバラバラで、日本人は私一人しかいない。こんな事、きっとこの時期でない限りありえないだろう。

今日から新しくトルコ人の方が入ってきたので、男女比は2:7となった。

女の子のうち2人は既に結婚して夫と共に暮らしており、しかもその片方は、どうやら最近妊娠していることが分かったようだ。

大学の門戸は開かれているとはいえ友人たちの殆どが±2歳程度の範囲で、独身の日本人、しかもそのうち半分以上は地元も関東近郊だったりしたものだから、現在のクラスも年齢層は±10歳程度ではあろうがそれでも十分に「色々な人がいるものだなぁ」と感嘆している。

ちなみに、Zoomで授業をしているゆえもあろうが、クラスの雰囲気は日本とそんなに大差を感じない(これは私が普段から発言をする方だからかもしれない)。

知らない人とペアワークになると、人間というのは往々にして相手を思いやったり遠慮してみせたりするものなのであった。

 

 

さて、今日はついに皆大好き・出前のことについてちょっくら書いていこうと思う(イェーイ)!

私は日本からほとんど食物を持って行かなかった、というか、持っていってはいるが見事に調理器具がなく当てが外れたという方が近いか。

地域にもよるそうだが5月末から外国人への食料支援は打ち切りになったようで、待ったところで素敵な段ボールは届かないので注意。

何らかの方法で、家から出ずに食料を調達して行かねばならない。

 

そこで、배달アプリである。

배달(ペダル)とは日本語でいう配達の意であり、まあ要は日本でも見事に市民権を勝ち得たUber Eatsや出前館のようなものだと思っていただければ良い。

ピザ屋のように店が独自の配達網を敷いている訳ではなく、様々な店が所属する配達代行サービスであり、客はお届け可能範囲内から好きな店を選んで注文していく。

例に漏れずここでも韓国オリジナルサービスたちがしのぎを削っていて、現在有名なのは私の使っている「요기요(ヨギヨ)」のほか、韓国でAmazon的地位を占めるCoupangが運営する「Coupang Eats」、「배달민족(ペダルミンジョク)」辺りのようだ (※Youtuberかおるさんの動画より引用)。

 

私は日本では都内といえどかなり端っこの方に住んでいたことに加え、毎日1万歩くらい平気で歩いていたため、自粛期間中に喜び勇んでUber Eatsに登録したものの、あまりの店舗バリエーションの少なさと値段の高さに結局一度も利用しないまま終わってしまった。

だって全部の店歩いていける距離なんだもん!歩いたほうが料理が安く、配達料金もかからず、おまけにカロリー消費できて痩せるとあっては、出前をする理由が全くない。

その点ペダルは凄い。

 

実際の店舗に行っていないので店舗価格との差分の有無は分かりかねるが、元の物価が日本に比べて少し安いのもあって、全体的に「デリバリーだから高い」という印象はまったく受けない(前の記事でも述べた通り、1人前は日本円にして約500〜800円程度に収まる)。

配達料金は店が個々に設定していて概ね200円弱〜300円程度だが、アプリ自体にプラットフォームとしての役目もあるのか、店独自?の配達員の方が届けにきてくれる配達料金0円の店もちらほら。

その上、日によって割引をしている店があって(事前決済の場合のみ対象)、例えば全体金額から10%OFFとか20,000원引きとかの字がずらりと並ぶのである。

もうこれで配達料金は言葉通りの「実質無料」である。

 

その上、私が賑わっている街に住んでいるゆえもあろうが、登録している店の数が果てしなく多いのだ。

これは検索のサジェストを見れば一目瞭然である。

韓国料理、日本料理などといったジャンル名でなしに、検索をかけるのは「冷麺」「キンパ」「ジャジャン麺」などの具体的な料理名だ。パッとボタンを押せばその料理を出す店がずらりと表示されるのである。

しかも、韓国では人々は夜遅くまでお酒を飲み、夜食を食べるというのが一般的なので、2時とか3時でも平気でやっている店がある。

例えば昼夜逆転して完全に変な時間にお腹が空いてしまっても大丈夫なのだ。

 

まあ、私がペダルを使っている最大の理由はやはり「歩けない」ことなので、外出できるようになればなーんだ全部近いじゃんと思って使わなくなるだろうが、これまでの文を読んでいただけた方には、韓国のペダルアプリの便利さと魅力が十分伝わったことと思う。

 

 

……とここまで良いことばかり書いてきたが、ペダルアプリには僅かに悪いというか、使いづらい点もある。

最もこれは長期滞在を予定している方にとっては何の問題もないことだが、短期や観光で韓国に行く方々にとっては重要な話である。

 

まず1点目は、当たり前だけど韓国語以外の言語には対応していない。

よって、ハングルで自分の食べたいメニュー名を検索し、ハングルの洪水の中からその文字列を見つけ出して、ハングルで書かれたよく分からないオプションメニューの間をすり抜けながら注文する必要がある。

ここで先程述べた検索ページが役に立ってくる。

メニュー名で検索して表示された店々のページを開くと、例えば「キンパ」で検索をかけたとすればその店の「キンパ」と名につくメニューのみが選び出されいちばん上のタブに表示されるようになっているのだ。

金額調節のためにはそのすぐ下のタブ「인기 메뉴(人気メニュー)」やいちばん下または下から二番目のタブ「음료 메뉴(飲料メニュー)」が活躍することだろう。

また、それぞれの店には★1〜5の評価がつけられ、メニューの横のタブを開けば多くのユーザーが写真つきで店舗をレビューしているのでそれも参考にしてみてほしい。

 

2点目は、韓国国内の電話番号が必要な点である。

ここは観光の方にとって最もハードルが高いポイントだと思われる。現在は2週間隔離のため全入国者に韓国国内の電話番号が必須とされているので問題ないが、普段ならば短期の滞在のためにわざわざ電話番号付きのSIMを買ったりはしないだろう。

最もホテルやゲストハウスの番号でもいいそうだが、その場合は必ずレセプションカウンターや家のオーナーに必ず出前を取っていいか、番号を使ってもよいか確認してからにしてほしい。

私の経験上、到着するとこの登録した番号に電話をかけてくださる配達員の方が多いので、無断で使用するとバレます。

 

そして3点目は、オンライン上での決済が可能なのは韓国国内で発行されたクレジットカードまたはカカオペイなどの国内キャッシュレス決済アプリのみという点だ。

私は最初、隔離中なのに配達員の方と顔を合わせ、しかもクレジットカードを渡さねばならないなんて、そんな倫理に反することできない……(??)と思い悩み、あらゆる配達アプリを試しまくったのだが、すべての配達アプリが同様のシステムを採用していたので

〜リアルに飢え死にしかけた〜

日本を出てから30時間くらい水しか飲まずに生活して「このまま死ぬのか……」と思いながら目を閉じる、直前に諦めて対面決済でエイヤと注文したので、50分後くらいには韓国で初めての食事にありつき、無事に生の喜びを噛み締めた。

ちなみに、もうその時は完全にバテきっていたのでチキンの写真を見ただけで死にそうになり冷麺を頼んだのだが、今まで冷麺というものは苦手の部類に入っていたのに、あまりにありがたすぎて一瞬で好きになってしまった。命の恩人である。お酢を入れると最高にうまい。

 

結局、私の中では少なくとも飢え死にするよりはマシだろうと、「必ずマスクをして応対する」「極力距離を開けて触れ合わないようにし、会話も最小限にする」という対人ルールに則って対面決済を解禁することにし、無事に今日まで生き永らえることができている。

ちなみに、対面決済では通常のVISAやMasterのクレジットカードを使うことができる。

ただし、アプリ自体に使えるカードの詳細は明記されていない(=使えない可能性もあるので注意)のと、店の割引サービスやクーポンは利用できないので注意が必要。

 

個人的には、出前アプリの1回の配達量が基本的に2人前の点にも少し不便さは感じるものの、韓国のお店では普通に入店しても注文が2人前からの場合がままある(持ち帰りができる)ので、そこはアプリに限った話ではない。

私のように冷蔵庫がない・壊れている方は冷さなくても保存できるもので乗り切って欲しい。

 

 

注文の手続きに関しては、恐らく日本のUber Eatsとほとんど変わらないだろう。

ここでは、私が普段利用している요기요の使い方を解説する。

配達下限の金額までメニューをカゴに入れたら、住所と電話番号(既に登録してあれば自動で入力される)を打ち込む。

「안심 번호(安心番号)」とは、お店やドライバーに自分の番号を通知せず、使い捨ての仮ナンバーを通じて自分の番号にダイヤルされるようにするシステムのことである。特に拘りがなければチェックを入れておくのがよいだろう。

その下には二つほどのチェック欄と下に広がるタブ、それから自由に入力できるスペースがくっついている。

これらは、店や配達員の方に対する要望を記入できる欄である。

たとえば、「ドアの前に置いておいてください」「付け合わせの大根や漬物はいりません」「ベルは鳴らさず、着いたら電話してください」のような項目が選択でき、下のスペースに自分で記入することもできる。

コロナの影響でいくらか配置が変わっていそうな部分もあり現在のデータには普遍性がないので、ここはご自身で翻訳アプリの画像スキャン機能を駆使し調べていただければと思う。

ちなみに、私は日本から箸だけ持っていっていたので、いつも「使い捨ての箸やスプーンは入りません」の項目にチェックをつけている。

その後支払い方法を選択(上から「1秒決済」→「オンライン決済」→「現地(対面)決済」の順に並んでいる)、最後に一番下の赤いボタンを押して注文する。

間もなく、요기요からカトクに注文内容と到着予定時間(〜分後)の連絡が来るので、その頃になったらマスクをつけてクレジットカードを構え、ウキウキしながら待っていればよい。

 

 

最初にペダルを頼んだ時は、あまりにしっかりした容器で届くので思わず返却しなければならないのかと焦って他の人に尋ねてしまった。ギョウザの入っているプラ容器でさえまるで市販品のタッパーのような頑強さである。

日本国内でリーチできる情報には、確かにデリバリーの容器は返却するものだと書いてあったのだ。

しかし現地の人びとによるとどうやらそれは随分前の話で、今は中華料理屋くらいしか返却の必要なところはないしそれは見ればわかる、ともかく普通は使い捨ての容器だから安心して捨てなさいとのことだった。

これに限らず、隣国であるとは思えないほど日本国内の情報はかなり古びていることがままあるので、韓国国内のマナーやルールなんかに関しては検索に頼らず、できるだけ現地の人たちに訊くべきだ。

 

でも本当にあまりにも容器が丈夫で捨てるにしのびないので、私はこっそりお皿として使っている。

これから日本から韓国に行く人は、食器は箸とコップくらいにしておいて、現地でも買わず、出前で丈夫な容器を引き当てることをこっそりオススメしておく。

 

 

今日の余談

日本で私が見つけられた韓国国内の電話番号を得る方法は、Qoo10で売っていた5日間有効のSIMのみで、電話番号がないと恐らく入国さえもできないし、隔離期間中に電話に出られなければこれも強制送還の危機なので、このSIMカードを3枚(15日分)携えて入国していた。

先日その5日が経過し、スマホの画面上でSIMのサービスが「無効」と表示されたのでSIMを差し替えたはいいが、肝心の「自宅待機者の安全保護」アプリ上で自分の電話番号を変更することができなくなっていた!

悩んだ結果、その下の国内での緊急連絡先欄は変更可能だったので、自分の番号にかからなければ次にかかって来るだろうと思いそちらを新しい番号に書き換え。

無事に、いつもの担当のアジュンマから「電話番号変わりましたか〜」と電話がかかってきた。

SIMカードの場合は入れ替えるまで新しい番号がわからず事前に伝えることもできかねるので、もしそれで困っている方はぜひこの方法を試してみて欲しい。

6/20 ☀︎ 🇰🇷にて

今日は日本も束の間梅雨を忘れる1日だというふうに聞いている。

そんな穏やかな日に水を差すようで申し訳ないが、今日の記事は見る人によっては不快になる内容かもしれない。マイルドに説明すると、食べものを放置するような話だ。

記録として残しておきたいだけなので、合わないかもと思われた方は速やかにブラウザバックしていただきたい。

 

 

私の部屋の冷蔵庫は壊れている。

コンセントを挿しても、古びた匂いのする庫内に温風が吹き荒れるだけである。

冷蔵庫はさも満足そうに、しばらく仕事をすると一息ついてみせるが、もちろんうっすらでさえ冷えたなんてことはなく、ただ完璧に生温い庫内が生成されたにすぎない。

大家さんに2回ほど話してはみたのだが、2回目に時間を設定しなかったせいで様子を見てもらえず、手を煩わせ続けるのも申し訳ないので本当に冷蔵庫が必要になったらでいいかと思って諦めた(!)。

 

加えて、この部屋に調理器具はない。

前の住人は意味わからんモビールとかインディアンふうの首飾りとかは置いていったくせに、調理器具はひとつ残らず持っていってしまったのである(当たり前か)。

唯一日本から持ってきていたレンジでお米が炊ける「ちびくろちゃん」も、電子レンジさえないのでまったく使い道がない。湯も沸かせない。

この国の、生活のもっとも基盤を支えているであろうAmazon的立ち位置のアプリや(驚くなかれ、韓国にはAmazonがない)、わたしの愛用しているデリバリーアプリなどの仕組みは独特で、なぜか韓国国内で発行されたクレジットカードしか決済に使えないというパターンがままある。

調理器具を購入することさえできない私は出前を頼むしかない。

 

しかし、前の日記にも記載した通り、この国では牛肉などを注文しなければ1人前の価格設定は大体500〜700円程度に収まる。

配達可能料金には下限が設定されていて、店にもよるが大体10,000〜15,000원(日本円で900〜1400円程度)である。

つまり、一人暮らしで出前を頼めば必ず余るのは既に分かりきったことなのだ。

前述の通り冷蔵庫をもたない私に残された選択肢は「できるだけ涼しく乾燥した場所に置いて、無事を願うこと」のみであった。

 

 

ひとつだけ幸運だったのは、ソウルが思いの外涼しく、かつ冬寒い地域あるある、窓の性能がかなり良いことである。

現在の気温では昼ごろまで窓を開けたまま過ごせるし、暑い時間帯でも3枚もある窓をしっかり閉めておけば冷房の必要はない。

夜ねむる前に窓を閉めても、朝まで寝苦しく感じることもないのである。

この気温が幸いして、今までマンドゥ(餃子みたいなもの)とかトッポッキとスンデとか、ジャジャン麺とポックンパッ(炒飯的なもの)とか色々なものを翌日まで繰り越してきたが、特に大変なことになっていた記憶はない。

スンデが乾燥して少し固くなっていたのは悲しかったが、ポックンパッはむしろ前日よりパラパラしてよかったかもしれない(皿にラップで届いたのでラップをかけ直して保存できたのもある)。

 

 

しかし、今回は違っていた。

昨日、出前で食べてみたかったコングクス(豆乳をそのままスープにした冷たい麺)を頼み、価格を合わせるためにジャジャン麺とチャンポン(海鮮入りで具沢山の麺類という点は日本と同じだ)のハーフ&ハーフを頼んで、迷ったあげくコングクスを食べ、もう一方は置いておくことにした。

そして今日の朝兼昼兼夕ごはんとして先ほど意を決して食べたのだが。

 

まず、ジャジャン麺は以前の実験結果通り、別の店のものではあれど同じ結果で、ほとんど痛みを感じることなくおいしく食べられた。

当然麺は固まっているのだが、私はだてに小麦粉の塊愛好クラブ会長を務めていないので、そのまま箸でむんずと掴みモギュモギュと食べることにはなんの抵抗感もない。

ちなみに、日本のジャージャー麺と韓国のそれはまったく味が違うと言われている。

日本で食べたことがないので韓国の味に関して述懐することしかできないが、ここでは上の黒色のソースはかなりドミグラスソースに近い深みがあり、かつうっすらと味噌を遠くの方に感じるのでもちろん炭水化物に合う。

具としては小さめに切られた玉葱と、同じような大きさの牛肉らしき肉塊、あと今日食べたものにはひとつだけうずらの玉子が入れられていた。

『パラサイト』をきっかけに日本でも知られるようになった「チャパゲティ」は、根本の味自体は遠いとは感じないが、やはりインスタントらしいジャンク味、それと甘みが大幅に上乗せされているように感じる。

 

で、問題はチャンポンである。

最初にこれまた具になっていた玉葱を口に入れた時、酸味を感じて「あ、来たな」と思った。

一晩スープにさらされた麺が放置したタピオカのように弾力を失うことは想定内だったが、にしてもやはり麺もうすら酸っぱいのである。

どう考えても発酵が進んでいるのだ(ちょっと良い風に書いた)。

 

その理由は具を見ると分かった。

玉葱、もやし、完全に形はムール貝なのに中身は牡蠣みたいな色合いの新種の貝類、あとはイカも入っていただろうか、その中に混じってどうやらキムチが入っていたようなのである。

元々本場のキムチは日本で食べるものよりかなり酸味が強く、辛みと酸味が接戦を繰り広げ下手すると後者に軍配が上がってしまうほどがっちり漬け込まれているのだが、恐らくその菌たちが加熱にさえ打ち勝ち、チャンポン全体を健気に乳酸発酵させていたのである。

なんか思い浮かべただけで咎める気持ちになれなくなったので、そのまま思い切って完食した。スープを飲むのだけはやめておいたが。

(※編集部注 本記事の筆者は幼い頃から「食べられるものはすべて食べる」英才教育を受けており、また屈強な胃腸を持ち合わせる専門家です。絶対に真似をしないでください。)

なんか腸で菌たちが手を取り合って踊っているような気がする。

(※編集部注 個人の感想です。)

 

 

さすがに反省したし、まあ韓国の食べ物ですぐ食べてみたかったものは一通り消化したし、そもそも私は何も考えずにいるとよくもこう炭水化物ばかり食べるものだ。

明日からは常温で保存できるものという観点を大切に、パン屋でパンの詰め合わせとサラダを頼み続けて残り一週間乗り切っていこうと思う。

 

 

最後に関係ないが今日の発見を書いておく。

日中に「自宅待機者の安全保護」アプリをインストールしたスマホを長時間放置しておくと、嫌めなアラーム音が慣らされることを発見した。

私に関してはただただ昼過ぎまで惰眠を貪っていただけなので、アラームで起こされて勘弁してくれよという気持ちだったが、GPS判定を移動させないため家にスマホを放置したまま外出するアホのための機能なのだろう。

にしても、スマホの起動状況までアプリで分かるもんなのか。このアプリにどれだけの情報が許可されているのか考えると少し怖い。

6/19 ☀︎ 🇰🇷にて

先日、なぜかクローゼットの中に仕舞われていた机を窓際に引っ張り出して模様替えをした。

ちいさく、下が棚になっていて足が入らないことに不満はあるが、行儀のわるい私は思いっきり足を広げたりベッドの上に投げ出したりして、夏の光と部屋に染み込んでくる風を浴び、人々のざわめく声、街の匂いに包まれながら勉強をしたりものを書いたりすることを、とても楽しく思っていた。

しかし、今日私は気づいてしまった。

網戸2枚では紫外線にちっとも歯が立たないじゃないか、部屋にいながらにして私は真っ黒けになってしまったらどうしよう……。

せっかく今ならうつくしい文章が書けるかと思ったのに、最後に現実が顔をのぞかせて全てを台無しにしてしまった。

日の光を浴びることはカルシウムの吸収につながるのだから、まったく外に出ない生活ではむしろ健康のためにいいじゃないか、と自分に言い聞かせつつも、今日は反対側の窓を開けることにして、パソコンの画面に映し出された私の顔は、窓の色につられて少し青白かった。

 

さっきまで『若草物語』を読んでいた。

青空文庫の、水谷まさる氏が訳しているバージョンである。

もちろん私が楽しみにしていたのは映画の方だが、ストーリーを先に知っておく必要がある、というコメントを見たのと、もし韓国で公開されたとしてこの拙い英語力で物語を追わざるをえないことへの不安があったからだ(韓国にいる間に英語が上達してしまうかもしれない)。

文章を追い始めると眠っていた頭がようやく動き出して、これは小学生の時分に読んだことがあるぞと教えてくれた。

従姉がおさがりをくれた、硬い表紙の文庫本で、装丁には細かい花か植物の柄が描かれており、赤色と青色と緑色か、3色ぶん、全部で30冊ほどあったように記憶している。

世界中の名作をあつめて作られていて、確か幼い私はギリシャ神話とローマ神話を愛読していた。

ほかではおなじ文庫本を見たことがなく、しかしもはやどこにも見つからなくてもいい、私だけの思い出、心の本棚である。

 

その中に確か、若草物語は入っていた。

そもそも読んだことのあるような気はしていたのだが、そうだと確信したのは、ベスが病の床に伏すくだりである。

逆に、それ以外の部分はほとんど初見のような気持ちで読んだといっても過言ではない。ベスが回復したかどうかさえ私は覚えていなかった。

ただこんなにも優しくとうとい人が、無差別に命を奪われかかってしまうことが幼い心にはあまりに痛ましかったのだと思う。

大きくなった私も同じで、ベスを心から愛しているし、ベスのように生きたいと願う。

本を読んでいると脳内に勝手に映像が再生されるたちで、今回は隣の家のローリイにティモシー・シャラメ、愛すべきベスはなぜかモトーラ世里奈がキャスティングされていた。しかもジョウはたぶん長井短だった。

 

ジョウが男の子のようでありたいと願い、ローリイと仲良くなってはしゃぎ回る辺りはとても朗らかで、狭い部屋のベッドに横たわる私の心も跳ねたが、父親のために髪をバッサリと切った彼女を「すっかり女の子らしくなった」と家族が評し、少しばかり複雑な気持ちになった。

身勝手に、彼女にとってこの展開は本当に幸せだっただろうか、と考えてしまう。

彼女は少なからずアウトサイダーでありながら、時代の要請で「普通」に収斂していってしまうような人であり、今この物語が書かれていたなら彼女の未来は変わっていたかもしれない。

いや、しかし彼女にとっては家族の鞘に収まり続けることが何よりの幸せであるのかもしれない。そのための細やかな抵抗のあらわれが、ローリイとゆく外国漫遊であろうか。

結末で描かれるローリイとジョウの会話はすばらしく、その言葉通りずっと共に旅をし続けるような二人であってほしいと願う。

 

時に複雑な心境を抱えつつも、清らかに母が娘の幸せを願う気持ちは普遍的なものだと伝わってくるし、なにより頭の中で繰り広げられたこの作品世界があまりにとうとくて、全体としては時代が変わっても読み継がれるゆえんを強く感じた。

だれかに共感するというよりは、エピソードひとつひとつには感情移入すれど、全体として物語そのもののうつくしさを慈しむような作品ではないかと思う。

6/17 ⛅️ 🇰🇷にて

おは人(おはんちゅ)

毎日学校が9時から始まる生活の中で、自宅隔離の雑な生活体制と社会性のなさから見事に1日2回睡眠と化した。

14時半に学校が終わったらすぐ寝て、夕方頃に起き、ヨギヨで直感に任せてご飯を頼んだり頼まなかったりしながら過ごしている。

 

韓国の揚げ物はおいしい。

ぱっと見は日本の天ぷらと似ているが、衣が厚く、果てしなく厚く、噛んだ瞬間のザクッとした食感が素晴らしい。

個人的には、食感が加わることでよりジャンキーなつまみ感が増すイカフライと、ザクザクとホクホクのコントラストが心地よいサツマイモフライが特にお気に入りである。

まだこちらでチキンを頼んだことはないが、前に日本で食べて感動したカマロカンジョンのチキンも甘いどろっとしたソースが全体に絡んでいるにも関わらず衣が全く湿気る気配を見せなかったので、もしかしたら唐揚げもそのように揚げられているのかもしれない。

 

しかし。

私は小学生の頃に天丼を食べ過ぎたせいで(※要出典)中学生の時分から既に揚げ物許容値が右肩下がりで、「満腹」とは別に「油分スコアの限界突破による摂食行為の停止」というラインが設けられてしまっている(ちなみに他にも「臓物スコア」があることが知られている)。

トッポッキは一緒にフライ類やスンデを頼んで、ソースまでしっかり活用するという食べ方が「トッスンティ」という王道になっているようだが、一昨日それをやろうとしたら、油分スコアと臓物スコアのW突破によりトッポッキが丸々翌日の夕飯に繰り越されてしまった。

隔離でカロリーを消費しないせいもあるだろうが、ペダルでは大体500円〜700円程度が1人前の料金設定だと感じるので、これから渡韓される方は是非参考にされたし。

 

 

結局食べ物がいちばん好きなので話せば止まらないが、今日はここまでにして、私の家の周りの様子について書いてみようと思う。

 

以前の記事にも書いた通り、私の家は2つの大学のベン図が重なるところに位置していて、周辺は今までの人生で住んできた中で最も繁華街といっていいだろう。

日本にいた頃はYoutubeばかり見ていて、特に日本語で韓国グルメやショッピング・スポットなどを紹介されているかおるさんの動画はずっとフォローし続けていた。

その中で特にお気に入りとおっしゃっていたIsaacトーストやA TWOSOME PLACEがちょっと朝食でも……くらいの気軽さで立ち並んでいる。

日本が懐かしくなってもセブンイレブンや31、スタバ、丸亀製麺(?!)を眺めていれば心落ち着くし、ちょっと化粧品でも買おうかしら、と思えば我らがオリーブヤングに始まりCLIO、MISSHA、innisfree、ETUDEが私を待ち構えている。

地図を眺めているだけで夢みたいだ(まぁ私は家から出られないんですが……)。

 

もちろん韓国に梅雨はないので、13時頃には多少暑くなれどもその他の時間帯は窓を開け放せば涼しい空気が穏やかに肌を撫で、6月ってこんなにいい気候だったんだな、と改めて感じ入る。

無臭の文章を書いたが、本当は朝はそこはかとなく砂埃が香り、昼過ぎになると飲食店の仕込みで海鮮やら揚げ物の匂いが漂ってくる。

なぜか今は玉葱臭がするが(私が食べた酢豚のせいかもしれない)、この後夜が深まるほどに食べ物の気配は姿を消し、薄められた副流煙に取って代わる。

韓国では路上でタバコを吸っても構わないし、なんなら店の前に一時的とはいえ吸い殻が溜まっている光景も珍しくはない。

 

しかし、そんな街が好きだ。

雪崩れ込む知らない言葉たちを聞きながら、時にバイクのエンジン音(とてもうるさい)に眉をしかめながら、こうして窓際の机に向かいパソコンをポチポチしたり勉強したりしている。

たまに窓から身を乗り出して下の路地を眺めると、大学生ぐらいの男の子や女の子たちが楽しげに話したり叫んだり、走り回ったりしていて、自分にもこういう時があったろうかと懐かしむと共に、とはいえまだ思い出に浸る歳でもないし、私もあの中の一員になれるだろうかと想像してみる。

まだ誰とも目が合ったことはない。

 

 

検査に行った時や、出前を受け取る時なんかに、咎められないようにこっそりと近所を観察する。

いつも窓から見える向かいの建物は1階が日本でいう「せんべろ」価格設定の店で、でも何にせよ物価が安いので、店の内装は綺麗だし、閉店する朝4時、5時頃まで若い子たちで賑わっている。2階は達筆ゆえに店名が読めないが、様子を見る限りHUBのような店らしい。

その隣は、1階2階ともに屋台系の料理を売りにしている居酒屋みたいだ。その上には脱出ゲームカフェみたいなことが書いてある気がする。雰囲気がとても怪しいが、いかなる店であろうと脱出できるくらいの韓国語力が身についたら是非行ってみたいと思う。

角にスターバックスがあるとは以前書いたが、それと私の住む建物の間にはチキン屋と思しき店がある。左隣はさっき見たら「居酒屋」と書いてあった気がするが、テラス席で強面の男性が一杯酌み交わしていたので一瞬で目を逸らしてしまった。

 

今日初めて気づいたことだが、私の住む建物かその隣にはどうやら地下があるようで、なんとそこがライブハウスになっていた。

入り口の雰囲気からすると、ライブハウスというよりブルーノートみたいな形式の、少し落ち着いた空間が広がっているのかもしれない。

今日はそこで誰かのギター(きっとアコースティックだ)ライブが行われている。

そして、1階は以前はゲームセンターだと思っていたが、中に目を凝らすと、あったのはゲームの筐体ではなく射的所とバッティングセンターだった。かなり根源的な欲望に訴えるゲームセンターである。

0時を回る頃になると、近隣の店で飲んできたらしき人びとがバッティングセンターに吸い込まれていき、たまにカキーンといい音がなると男の子も女の子も歓声をあげて、ただその音を聞いているだけの私にも少し幸せな気分がもたらされる。

以前新宿の映画館でバイトしていた頃、同僚の方達とたまに遊んで、いい感じの酔い具合になったところで歌舞伎町のバッティングセンターに行き、打てなくてふてくされたり、今のはよかったこれはダサいとワーキャー言ったり、突然飽きて後ろでアイスを食べたりしていた記憶が立ち上がってくる。

あの日々のことは一生何かにつけて思い出すんだろうな、とこの間ふと考えたような気がした。

 

 

今日も街はうるさい。

早くこの喧騒に紛れられる日を夢見て、私は今日もただ家に篭り続ける。