6/17 ⛅️ 🇰🇷にて

おは人(おはんちゅ)

毎日学校が9時から始まる生活の中で、自宅隔離の雑な生活体制と社会性のなさから見事に1日2回睡眠と化した。

14時半に学校が終わったらすぐ寝て、夕方頃に起き、ヨギヨで直感に任せてご飯を頼んだり頼まなかったりしながら過ごしている。

 

韓国の揚げ物はおいしい。

ぱっと見は日本の天ぷらと似ているが、衣が厚く、果てしなく厚く、噛んだ瞬間のザクッとした食感が素晴らしい。

個人的には、食感が加わることでよりジャンキーなつまみ感が増すイカフライと、ザクザクとホクホクのコントラストが心地よいサツマイモフライが特にお気に入りである。

まだこちらでチキンを頼んだことはないが、前に日本で食べて感動したカマロカンジョンのチキンも甘いどろっとしたソースが全体に絡んでいるにも関わらず衣が全く湿気る気配を見せなかったので、もしかしたら唐揚げもそのように揚げられているのかもしれない。

 

しかし。

私は小学生の頃に天丼を食べ過ぎたせいで(※要出典)中学生の時分から既に揚げ物許容値が右肩下がりで、「満腹」とは別に「油分スコアの限界突破による摂食行為の停止」というラインが設けられてしまっている(ちなみに他にも「臓物スコア」があることが知られている)。

トッポッキは一緒にフライ類やスンデを頼んで、ソースまでしっかり活用するという食べ方が「トッスンティ」という王道になっているようだが、一昨日それをやろうとしたら、油分スコアと臓物スコアのW突破によりトッポッキが丸々翌日の夕飯に繰り越されてしまった。

隔離でカロリーを消費しないせいもあるだろうが、ペダルでは大体500円〜700円程度が1人前の料金設定だと感じるので、これから渡韓される方は是非参考にされたし。

 

 

結局食べ物がいちばん好きなので話せば止まらないが、今日はここまでにして、私の家の周りの様子について書いてみようと思う。

 

以前の記事にも書いた通り、私の家は2つの大学のベン図が重なるところに位置していて、周辺は今までの人生で住んできた中で最も繁華街といっていいだろう。

日本にいた頃はYoutubeばかり見ていて、特に日本語で韓国グルメやショッピング・スポットなどを紹介されているかおるさんの動画はずっとフォローし続けていた。

その中で特にお気に入りとおっしゃっていたIsaacトーストやA TWOSOME PLACEがちょっと朝食でも……くらいの気軽さで立ち並んでいる。

日本が懐かしくなってもセブンイレブンや31、スタバ、丸亀製麺(?!)を眺めていれば心落ち着くし、ちょっと化粧品でも買おうかしら、と思えば我らがオリーブヤングに始まりCLIO、MISSHA、innisfree、ETUDEが私を待ち構えている。

地図を眺めているだけで夢みたいだ(まぁ私は家から出られないんですが……)。

 

もちろん韓国に梅雨はないので、13時頃には多少暑くなれどもその他の時間帯は窓を開け放せば涼しい空気が穏やかに肌を撫で、6月ってこんなにいい気候だったんだな、と改めて感じ入る。

無臭の文章を書いたが、本当は朝はそこはかとなく砂埃が香り、昼過ぎになると飲食店の仕込みで海鮮やら揚げ物の匂いが漂ってくる。

なぜか今は玉葱臭がするが(私が食べた酢豚のせいかもしれない)、この後夜が深まるほどに食べ物の気配は姿を消し、薄められた副流煙に取って代わる。

韓国では路上でタバコを吸っても構わないし、なんなら店の前に一時的とはいえ吸い殻が溜まっている光景も珍しくはない。

 

しかし、そんな街が好きだ。

雪崩れ込む知らない言葉たちを聞きながら、時にバイクのエンジン音(とてもうるさい)に眉をしかめながら、こうして窓際の机に向かいパソコンをポチポチしたり勉強したりしている。

たまに窓から身を乗り出して下の路地を眺めると、大学生ぐらいの男の子や女の子たちが楽しげに話したり叫んだり、走り回ったりしていて、自分にもこういう時があったろうかと懐かしむと共に、とはいえまだ思い出に浸る歳でもないし、私もあの中の一員になれるだろうかと想像してみる。

まだ誰とも目が合ったことはない。

 

 

検査に行った時や、出前を受け取る時なんかに、咎められないようにこっそりと近所を観察する。

いつも窓から見える向かいの建物は1階が日本でいう「せんべろ」価格設定の店で、でも何にせよ物価が安いので、店の内装は綺麗だし、閉店する朝4時、5時頃まで若い子たちで賑わっている。2階は達筆ゆえに店名が読めないが、様子を見る限りHUBのような店らしい。

その隣は、1階2階ともに屋台系の料理を売りにしている居酒屋みたいだ。その上には脱出ゲームカフェみたいなことが書いてある気がする。雰囲気がとても怪しいが、いかなる店であろうと脱出できるくらいの韓国語力が身についたら是非行ってみたいと思う。

角にスターバックスがあるとは以前書いたが、それと私の住む建物の間にはチキン屋と思しき店がある。左隣はさっき見たら「居酒屋」と書いてあった気がするが、テラス席で強面の男性が一杯酌み交わしていたので一瞬で目を逸らしてしまった。

 

今日初めて気づいたことだが、私の住む建物かその隣にはどうやら地下があるようで、なんとそこがライブハウスになっていた。

入り口の雰囲気からすると、ライブハウスというよりブルーノートみたいな形式の、少し落ち着いた空間が広がっているのかもしれない。

今日はそこで誰かのギター(きっとアコースティックだ)ライブが行われている。

そして、1階は以前はゲームセンターだと思っていたが、中に目を凝らすと、あったのはゲームの筐体ではなく射的所とバッティングセンターだった。かなり根源的な欲望に訴えるゲームセンターである。

0時を回る頃になると、近隣の店で飲んできたらしき人びとがバッティングセンターに吸い込まれていき、たまにカキーンといい音がなると男の子も女の子も歓声をあげて、ただその音を聞いているだけの私にも少し幸せな気分がもたらされる。

以前新宿の映画館でバイトしていた頃、同僚の方達とたまに遊んで、いい感じの酔い具合になったところで歌舞伎町のバッティングセンターに行き、打てなくてふてくされたり、今のはよかったこれはダサいとワーキャー言ったり、突然飽きて後ろでアイスを食べたりしていた記憶が立ち上がってくる。

あの日々のことは一生何かにつけて思い出すんだろうな、とこの間ふと考えたような気がした。

 

 

今日も街はうるさい。

早くこの喧騒に紛れられる日を夢見て、私は今日もただ家に篭り続ける。