小さくて安い 韓国にて

最近Youtube LIVEが楽しい。

 

 

元々は「新しいオンライン飲み会の形を模索したい」という名目で始めた放送だった。

オンライン飲み会はまだわたしの中で、なんともいえずよそよそしいシステムで、外から覗き込んだりとかできないので遅れたら入りづらいし、決まったメンバーしか基本的に来ることがないし、とにかく気が重かった。

その点、わたしが勝手に放送しているLIVEに暇な人が顔を出してくれるシステムならば、強制力がないので気楽だし、わたしを介して友人たちが知り合うオフラインの醍醐味みたいなものも実現できるかなと思ったのだ。

 

全部過去形で書いてる時点でお察しの通り、目論見は半分くらいは外れてしまった。

文字を打ち込むのは直接喋るより時間を要するし、おまけに時間がかかると人間は推敲したくなってくるたちなので、当たり前ながら滑らかに会話をすることは難しい。時間の流れるスピードが食い違っているという感じがある。

加えて、やはりどうしてもLIVEをしている側が主体になってしまうのだ。

「せっかく来てもらっているのに申し訳ない」という謎のホスピタリティが生まれ、できるだけ間の悪い沈黙は作らないようにしようとし始める。

すると、より一層チャットの側から自発的に話を持ち出すということが難しくなってくる。

LIVEはあくまで双方向のコミュニケーションではなく、サーバーとそこにアクセスするパソコンみたいな関係性なのである。?

 

 

しかし想定外の失敗があれば想定外の成功もあるものだ。

 

まず、ひとりで喋るということの楽しさがだんだん掴めてきた。

ラジオパーソナリティーみたいと素人がふんふん鼻を鳴らしながらいうのもなんだけど、本当にそんな気持ちになってくる。

チャットという、より瞬時に目に入る形でレスポンスが返ってくること、そしてユニーク視聴者数が目で見て把握できることで、「いまこれを聴いてくれている人がいるのだ」という実感が強く湧き、その誰かにむけて喋るモチベーションが生まれる。

最も、視聴者はタイミングによっては0人だし、アンチコメントを弾いてくれる大人もいないので、距離が近いということは逆に言えば自衛が必要だということでもある。

 

そして、オンライン飲み会では会えなかったかもしれない友達がふらっと観にきてくれるのも嬉しい。

LIVE配信ならべつに2時間一緒にいなくたっていいのだ。次の用事の前の5分、10分だけ遊びに来る、そういうフランクな感じがいい。オンライン飲み会との大きな違いは、観る側になんの準備も必要ないことである。

「家族で食事をしながら観ていた」と言われたのがいちばん面白かった。使い方がもはやテレビのそれである。飲み会にインタラクティブな面白さは敵わねど、受動に徹せることで参加のハードルは低くなり、結果多くの友人と「会え」ているという意味では成功だといってもいい。

 

 

で、これは全部前置きだったのだけど。

先日、わたしにしては少し珍しい放送をした。

 

これまではただ駄弁っているだけだったのだけど、この日は何か食べようにも食欲が湧かなくて、折角ならと友人からもらっていたリクエストを消化してみることにしたのだ。

 

家の近くに無人のアイス販売所があって、朝の10時から深夜3時まで煌々と明かりがともり、老若男女のアイス欲を健気に満たしつづけている。

狭い店舗内には腰くらいの高さの冷凍庫が4台並び、数えきれない種類のアイスがもりもりに詰まっている。

全部一気に紹介したい気持ちもあったが家の冷凍庫に入り切らず、結局その中から最も安い、日本円にして40〜50円(!)のアイスを総ざらいして食べ比べてみるという企画に相成った。

 

 

食べてみて分かったのは、韓国のアイスの「丁度良さ」である。

 

 

価格設定からしてまったく期待していなかったのだが、もちろん駄菓子っぽい良さのあるアイスもありつつも、大半は驚くほどにクオリティが高い。

たとえば、アイスのなめらかさ。

ミルク系アイスが口当たりよいのは勿論のこと、特筆すべきはシャーベットである。

特に、韓国ロッテとデルモンテのコラボ商品らしき「샤인마스켓&청포도(シャインマスカット&白ブドウ)は凄かった。

外側は凍らせたゼリーのような、ねっとりとした歯応えのある層に覆われていて、中身もまた非常になめらかなマスカット味のシャーベット。

食感が違うだけで味は同じだが、全体に統一感がありすばらしい。例えるならば、みんな大好き「コロロ」を上品にアイス化したような雰囲気がある。

味も、香料や人工甘味料に顔をしかめるようなものは少なく、殆どがパッケージの通りの、文句のつけようがないおいしさであった。

 

にもかかわらず、カロリーもまた目を疑うほど低いのだ。

最低ラインは60kcalから始まりミルク系でも100kcal以下に抑えるものも。今回食べ比べた中でもっとも高カロリーなアイスでさえ180kcalであった。

日本ではもっぱらガリガリ君ばかり食べていたが、一般的な梨味(※諸説あり)が62kcal、リッチシリーズは1本130kcal〜150kcal。

どれを食べてもだいたいガリガリ君1本の範疇に収まることが分かる。

 

 

なぜ「安い」「美味しい」「低カロリー」というモンテスキューもびっくりの三項を両立させ得るのだろうか。

理由は簡単だ。一つひとつが小さいのである。

動画を見ていただければサイズ感は伝わろうが、大まかに説明するとガリガリ君の半分程度の大きさなのだ。

しかし、このサイズがなんともいえず丁度いい。

 

この企画をやって気づいたのだが、アイスに対して求めるものが満腹感でないゆえに、どのくらい食べるかよりも、1本、1カップ、1コーン、とにかく1単位分食べたということが充足感につながっている節があると思う。

もちろんサーティワン(ちなみに韓国での呼び名はバスキン・ロビンスの方だ)で雪だるまキャンペーンをやっていたらうれしい。

しかし、キッズサイズのちいさなスクープを1つ、ちょこんとコーンに載せてもらうだけでも、もうわれわれのアイス欲は満たされているのだ。

 

結果として、韓国のちいさなアイスを1本食べるだけでも、十二分に「アイスを食べたな」という気持ちに浸ることができた。

日本のアイスは1単位としては少しばかり多い。

量を少なくすることで、味のクオリティはそのままにカロリーも原価も下がり、結果的に多くの人がアイスを手に取りやすい環境が生まれる。

この無人の販売所の他に、もちろんコンビニ、スーパー、大型マートにもしっかりアイスコーナーがあり、競合かと思われたサーティワンさえソウル市内は各駅に1店舗の勢いで立ち並ぶ。

韓国では、アイスが食生活の中にきっちり組み込まれているのだ。

 

 

おまけ

 

今回最も美味しかったアイスは、

「더위사냥(トウェサニャン)」コーヒー味

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http://itempage3.auction.co.kr/DetailView.aspx?itemno=B685115728〉より

 

味としてはミルクコーヒーといった風情だが、(恐らく)40円とは思えないしっかりとしたコーヒーの風味とミルクの柔らかさが立ったアイスクリーム。

食感も他の類似形状のアイスに比べて粒子が細かく、シャーベット状ながら滑らかな印象を受ける。

画像右のレモネード味も酸味が効いていて、化学っぽい色合いにもかかわらずきちんと美味しかった。

紙パックタイプは量も心なしか多めで、すべての面においてコストパフォーマンスに優れた超優等生。先生曰く韓国でも人気のあるアイスだそうなので間違いない。

買うべし。

 

他のアイスについては、お時間が許せばゆるりと動画でお楽しみください✌︎