チャムウェがうまい 韓国にて
特にタイトル以上の内容はない。
韓国には、チャムウェ(참외)という果物がある。
たまに韓国食品スーパーなんかで「チャメ」という表記で売られているようだ。
日本名をマクワウリというウリ科の植物で、アンデスメロンはこれと何かを交配させてできた品種のようである。
簡単に言うと、より先祖に近いメロンということになるのだろう。
韓国にもメロンはあるのだが、とにかく安くて食べやすくておいしいものだから、チャムウェの人気はまったく衰えない。
6〜8月が旬とのことで、今の時期に生鮮市場へ行こうものなら、そこかしこで山積みになって売られている。
四方から店主たちが「ヨソッケー!」「アホッケー!」と声を張り上げるのが聞こえてくる。日本の市場の音と似ている。
わたしのよく行く市場では5,000원という値段がひとつの基準になっていて、うちは何個で5,000원だよ、というのを呼びかけているのである。
わたしはいつも3,000원(約300円)くらいのカゴを買うことにしている。
市場を端から端まで歩き回って、いちばん安くていちばん美味しそうなチャムウェを探す。
ちゃんと屋根はついているけれど、少し人がまばらな方の通りがあって、大体そこで買うと安い。
上の画像くらいの大きさのものが5個、1kgより少し多いくらいのを狙う。
つまり、1個で60円である。遠足に2個持っていってもまだうんとおやつが買える。
2個も食べたらお弁当が食べられない。
大きさはこぶし1個分の小さいものから、食べ応えのあるこぶし2個分くらいまで、様々なものが売られている。
店ではたとえば小さいものは10個で5,000원、大きいものは5個で5,000원、といったように体積に応じて値段がつけられていて、どうやら大きさによる貴賎の差みたいなものはないらしい。
検索してみても、大きいものが甘くてうまいという人もいれば、小さい方がやわらかくてうまいという人もいて、いまいちどっちがいいのかは分からない。
小さい方も買ってみたいとは思うものの、なんかどうしても大きい方がお得なような貧乏性が出て、結局大きいのを買ってしまっている。
どういうチャムウェが美味しいか、というのは、日本語でアクセスできる情報ではやっぱりみんな言うことがバラバラで、どうにも分からないことばかりである。
自分で買ってみた感覚としては、この縦に入った切れ込みに沿って黄色い部分がぷっくりと盛り上がっている(みんながよく描くカボチャのイメージみたいに)ものの方が甘くておいしい確率が高い。
大きさとしては同じくらいだし庫内にはいい匂いが立ち込めていたのだが、つるっとしたものは皮が硬くて甘みもかなり薄い印象がある。
また、これはどう頑張っても縦長に育つ品種のようで、縦長のものの方が実が詰まっていておいしい。
上に載せた左側のチャムウェは今日食べたものなのだが、丸くて触った感じも凹凸が少なかった。身を呈した実証実験である。
案の定真ん中には実割れした空洞があり、あんまり美味しくなかった。
チャムウェの皮は薄く、りんごのそれに似ている。
つまり、皮ごと食べられるのである。
もちろんわざわざ皮を食べてもあまりいいことはなかろうし、剥けるなら剥いた方がいい。
しかし、旅先や留学先で包丁を買うかと言われるとちょっと微妙なところだろう。そういう時は、そのまま齧って皮だけ後で出せばいいのだ。
(ちなみにヘタだけはなぜかびっくりするほど苦いので、噛み切ってすぐポイしよう)
そして、チャムウェは種の周りのワタ部分が最も甘いので、種ごと召し上がるのを強くおすすめする。
小さいものの方が種が未熟というのを見た記憶があるので、抵抗がある方は小さめのものを選んだ方がよいかもしれない。
果肉の硬さは少しシャッキリしたメロンという感じで、「夏」にもし食感があるならこういう感じではないかと思う。
日本のメロンはサービス精神が過ぎて喉にくる甘さの時があったと記憶しているが、チャムウェはよい意味でそういうことがない。
爽やかで、かつ瞬発的でない、持続性のある甘みがそよ風のように吹き抜けていく。
大きさもメロンよりは随分と小さいので、味にムラがないのもいい。
皮に近いところを食べたら無味で悲しい、ということもないのだ。全体でひとつの味として完成されている。
種は、熟しているものでもメロンよりはすこし小さめだろうか。
若めのものを選べばもっとキュウリの種のように、果肉とほぼ一体で気にならないだろう。
べつにそんなことどうでも良くて、こちとらただ安くておいしいから食べているに過ぎないが、前に検索したらカリウムが多くて火照った体を冷やすとか、カロリーがものすごく低いとか、抗酸化作用が云々とかいろいろ書かれてあった。
まあ要するに、これはいいものであるらしい。
確かに最近チャムウェを毎日食べていたら、なんか身体に溜まっていたものが色々出てきている気はする。
安くておいしいし、色々なものが出てくる(個人差があります)ので、もし機会があればぜひ試してみて欲しい。
韓国では果物が安いのがいい。
毎日果物を食べる生活というのは金持ちだけのものとばかり思っていたが、むしろ肉とか魚とかの方がよっぽど高い。当たり前か。
節約留学生活でも、果物を食べられるというだけで心は十二分に豊かになれるのである。